
浜松大学入学式が4日、浜松大学トコハホール講堂にて挙行されました。真新しいスーツ姿に身を包んだ学部生、大学院生や留学生約600人の新入生は、大きな希望を胸に新生活への第一歩を踏み出しました。
学部生を代表してビジネスデザイン学部サービスと経営学科の平松茉美さんが「豊かな人間性を身に付けながら、これからの世界情勢に対応できる力を付けたい」と宣誓しました。
東日本大震災で家族などが被災した学生もいたが、全員が無事入学式を迎えました。中村正義学長は「今回の大震災を忘れず、社会的危機に際し、真に役立つ力を身に付けてほしい」と式辞を述べました。
入学セレモニーでは、阪神淡路大震災時に被災者のケアに携わった経験を持つ同大臨床心理教育実践センターの山中康裕センター長が「最近の大震災と私の経験」と題して講演しました。
新入生の皆さん、今日の入学式は皆さんにとって、深く記憶に残るものと思います。さる3月11日、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の大地震により多数の犠牲者と甚大な被害がもたらされ、現在救援復興活動が国内外の多くの人たちによって行われています。このようなときに皆さんは何をなすべきでしょうか。まず、今回の大震災を忘れず、これからの4年間あるいは2年間を通して、こうした社会的危機に際し、真に役立つ力を身につけることだと思います。皆さんにはこの決意を持って、今日の入学式に堂々と誇りを持って臨んでいただきたいと思います。
本日ここに、多数のご来賓ならびに保護者の皆さまのご臨席を賜り、平成23年度浜松大学、浜松大学大学院および浜松大学留学生別科の入学式を挙行できますことは私達の大きな喜びとするところであります。本学を代表しご出席の皆さまに心より御礼申し上げます。
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。浜松大学教職員一同、皆さんのご入学を心より歓迎し、お祝いとお喜びを申し上げます。また、保護者の皆様におかれましては、本日お子様の晴れのご入学を迎えられ、 これまでのご苦労をかえりみますと、さぞかしご安堵されているものと拝察し、心からお慶び申し上げます。
さて、本学は昭和最後の年、昭和63年に、「教育に対するゆるぎない信頼をもって、より高きを目指して学び続ける人間の育成」を建学の精神とする常葉学園によって設立されました。静岡県西部地区における初めての4年制私立大学として、地元の皆さんの期待を担って出発しました。当初、経営情報学部1学部の社会科学系単科大学でしたが、社会の変化や要請に応え、現在、3学部9学科、大学院2研究科3専攻および1留学生別科からなる大学へと発展してまいりました。
新入生の皆さんは、この浜松大学に、大きな夢と希望を持って入学され、それぞれの課程で学んでいくことになります。ここで本学の教育研究に対する基本的な考え方、教育理念・目的についてお話しておきたいと思います。これは、新入生の皆さんが、これから大学生活を送るにあたって、本学から皆さんに対する約束でもあります。本学は
「学生・社会・教職員の3者がともに、真に満足する大学の実現」を基本理念とし、
1.本学は教育中心の大学であり、学生主体の大学である。
2.本学は、人間教育としての教養教育、幅広い専門基礎・専門教育を通して、豊かな教養と専門性を持った適応力のある真に社会に貢献できる人材を育成する。
3.教育・研究を通して社会・地域に貢献する。
の3点を使命・目的としています。
これを踏まえて、教育・研究活動をしていくにあたり
3か条からなる私たちの信条(クレド)と行動指針を制定し公表しました。皆さんがこれから浜松大学で学んでいくにあたり、まずこの私たちのクレドを示しておきたいと思います。
1つは、「学生の知的好奇心を刺激し、満足度を高めていく」
というものです。
私たちは、みなさんの満足度は、学生の持つ知的好奇心を刺激し、自ら成長する力を引き出すことによって高まると考えます。学生の知的レベルの向上を図るため、私たちの得た知識、情報を提供し、やる気を引き出すよう努めることを表明したものです。
また、本学で得た知識や経験をみなさんの未来あるキャリア形成につなげることは、学生だけでなく、保護者、出身校の先生など、学生に関わる方々全員の高い満足度につながります。これは、私たちが全力で就職活動を推進することを示すものです。
2番目は、「私たちは地域に貢献し、地域とともに発展する」
というものです。
大学は地域社会の一員として、地域の発展に貢献することは、社会の公器としてまた「知」の拠点としての大学の使命です。大学の持てる資産を活用するだけでなく、学生と一体となったボランティア活動など、さまざまな地域からの社会的要請に応えるべく、最善の努力をいたします。地域の皆様・学生・全教職員と喜びを分かち合えることが、3者の満足につながることを示したものです。
3番目は、「私たちは互いに切磋琢磨し、知的資産の拡大に努める」
というものです。
私たち教職員が互いに切磋琢磨し、高め合うことは、高等教育機関としての大学の生命線です。自らを高めることは、学生のやる気を引き出すことにもつながり、ひいては学生の知的探究心を刺激する日々の講義や演習の質的向上へとつながります。現状に甘えることなく、日々刺激しあい、知的資産を拡大することに努めることを表明したものです。
本学が一員となっております学校法人常葉学園には、私たち浜松大学を含め、3つの大学と1つの短期大学があります。現在、常葉学園では平成25年度を目処に、これらの大学・短大を統合化し、同時に2つの学部を新たに増設する計画を立てています。これによって約8000名の学生を擁する総合大学となり、皆さんの将来への可能性はさらに大きく拡がるものと思います。また、常葉学園の建学の精神に基づいた本学の理念・目的はこの統合化後の大学にも継承されていくことになります。
さて、近年の高度情報通信技術の急速な進歩は、人と人、人と社会、社会と社会との相互関係やコミュニケーションの在り方を大きく変え、社会のあらゆる分野において質的な変化や価値観の多様化をもたらしており、現代は、「知識基盤社会」の時代といわれてきました。
このような時代では、新しい知識・情報・技術の修得が、社会のあらゆる場面において重要性を増しています。またこうした進歩は、急速なグローバリゼーションをもたらし、世界的に様々な分野において競争に拍車がかかり、エネルギー資源問題や環境問題といった深刻な副産物を生みだしています。激しく変化し複雑化する現代社会のなかでは、今まで以上に、幅広い教養や専門的な知識・技能の修得はもとより、既成概念にとらわれない柔軟な発想や、物の本質を見抜く目を持って物事を判断し、自ら問題を解決できる能力など、真の「知」を修得することが求められるようになってきます。大学は、勉学はもとより、スポーツや文化活動、学校行事への参加や社会体験など様々な活動を通してこうした知識・知恵、技能などの「知」を修得するために、広い意味での「知の鍛錬」をする場です。皆さんにはこのことを心にとどめ、これからの大学生活において主体的に勉学に励み、真の「知」を獲得されることを切に望んでおります。
本学では、全国大会で優秀な成績を修めている6つの強化クラブをはじめとする多数の運動部や、ボランティアサークルなどの様々な文化サークル・同好会が活発に活動しています。ボランティア活動では、昨年度、地元浜松市より「善行賞」を受賞するという栄誉を得ています。また、この度の大震災におきましても多くの学生が自主的に義援活動に取り組んでいます。勉学とともに、こうした課外活動に積極的に参加して、豊かな人間関係を築き、皆さんの「知の鍛錬」をよりうるおいのある楽しく充実したものにしていきましょう。
新入生の皆さんは、それぞれの分野における専門家を目指し、また複雑な現代社会で活躍できる社会人を目指して入学されました。本学園の建学の精神でも述べておりますように、教育は人や社会を変える大きな力を持っています。学ぶことによって皆さんの夢・目標が実現されます。より高きを目指して勉学、課外活動に勤しみ、皆さんの大学生活がより豊かで実りあるものになりますことを心より祈念いたしまして、式辞とさせていただきます。
本日は、ご入学、まことにおめでとうございます。
平成22年4月4日
浜松大学学長 中村正義