
高校スポーツ界も、多くの種目でスポーツ医科学の知識や経験を基にトレーニングやケアが行われるようになりました。
2月の日本短水路選手権で、当時高校3年の酒井志穂選手が女子100m背泳ぎの短水路世界新記録を樹立したのも、科学的トレーニングが背景にあったからです。成長期の仕上げ段階にある高校生アスリートが、健常な心身をつくり、競技力を向上させているのは喜ばしいことです。
ゴルフでも、この号が出るころには、石川遼選手がマスターズに出場しているでしょう。石川遼選手のトレーニングに関しても、一昔前でしたら「ボールを打って打ちまくる」調であったでしょうが、今は「まず身体づくり」というふうに変わってきています。「トレーニングに始まりケアに終わる」は、高校スポーツ界では特に議論する必要のないところまで浸透しているのです。
体のケアが「超回復」に影響
こうした中でも、トレーニングが、より科学的に合理性を帯びるために、2点考えなくてはならないことがあります。
1点目は、トレーニングが、より科学的に合理性を帯びるために、2点考えなくてはならないことがあります。
1点目は、トレーニング種目の特異性だけを見ない、ということです。例えば、筋力トレーニング後に筋肉が回復し、元の状態以上に筋力がつく「超回復」。この効果を上げようとすると、大雑把に言って24時間の休憩が必要です。しかし、ただ休息を取るだけでは不十分です。トレーニング後のケアの仕方、水分・栄養素・酸素を運搬する毛細管の発達レベルによって、効果に大きな違いが出てくるからです。
健康度の維持も怠らない
2点目は、健康度を維持するトレーニングをおろそかにしないことです。競技力向上に直結するトレーニングをして目的に近づいているようでも、体調を崩して具体的な結果が得られないことがあるからです。
夏のシーズンに向けて、トレーニングの内容や組み立てに対する認識を深め、見直してみてはいかがですか。
(高校生スポーツ・平成21年4月10日28号/掲載許諾申請済み)
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教員を知ろう!田中誠一教授
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