「研究室拝見」米粉普及へレシピ開発/川上栄子講師

浜松大学入試広報課

2011年01月24日 13:40

 管理栄養士として病院や学校で給食の栄養管理やメニュー作りなどに携わってきた経験を生かし、「研究者ではなく実践家として、地域に合った料理の普及や実践活動に取り組みたい」と話す川上栄子講師。日本人の“米離れ”が進み、消費量が減少する中、「コメの良さを見直してほしい」と考え、消費拡大や米粉の普及につながる実践的な研究に力を入れています。
 調理学研究室で学生が取り組むテーマは二つ。一つはパンの材料に、今では一般的になってきた米粉の代わりに冷や飯などを使う研究です。
 比較的高価な米粉ではなく、残り物の冷や飯などを活用できないかを探るユニークな試みです。小麦粉7 割に対し、米粉、水を吸わせたコメをついて作ったペースト、冷や飯をそれぞれ3 割混ぜ、市販のパン焼き器を使って3 種類のパンを焼きます。大学生らに試食してもらったところ、冷や飯でも十分に味の良いパンが出来ることが分かったといいます。川上講師は「家庭で眠っている自動パン焼き器を活用してもらえたらいい」と期待します。
 二つ目は、米粉を使った新しいレシピの開発です。今年度はゼミの女子学生4 人が挑戦しました。ジャガイモやエビイモなど地元特産の野菜を使った米粉100 %のマフィン「べジマフィン」と、肉や野菜を米粉のガレットで巻き、揚げ物にしたおかず「ガ・レロ」の2 種類を考案。県やJA 、食品業界などが協力して開催している「米粉FOOD コンテスト」に出品しました。
 「ガ・レロ」は見事、パンと菓子以外の料理部門で最高金賞に輝きました。米粉は油の吸収が少なくへルシーな点や、保存性高い冷凍食品としても通用する点など、川上講師の助言を基に様々な工夫を凝らしたことが評価されました。ゼミ生の一人杉山明日美さんは「感無量」と顔をほころばせます。
 「べジマフィン」も賞こそ逃したが、浜松大の学園祭や磐田市内で開かれたチャリティーイべントなどで一般向けに販売され、好評を博しました。ゼミ生の神悠さんは「こんなに多くの人に食べてもらえるとは思わなかった。やりたいことに何でも挑戦させてもらえるのが、このゼミの魅力」と充実感を漂わせます。さらに「将来は地産地消を掲げるお店を出して、地元に貢献できればいい」と夢を語りました。
(読売新聞平成22年12月19日掲載/掲載許諾申請済み)

教員を知ろう!川上栄子講師
健康栄養学科

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